リチャード三世の骨

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リチャード三世といえば、シェイクスピア劇に出てくるキャラクターの中でもとびきり迫力ある人物像だ。そのとびきりさと言うのは、自分にとって邪魔になりそうな人間を殺しつくした残虐さにおいてである。リチャード三世はまた、歴史上に実在した人物でもあった。彼は1483年から1485年までの約2年間、イングランドの国王として君臨していたのである。

リチャード三世は、ボズワースの戦いで戦死したのだったが、その後遺体はレスターに運ばれ、そこの修道院の床下に葬られたと言い伝えられてきた。その修道院は今はなく、敷地は駐車場として利用されている。そこで法医学者のグループがその駐車場を掘ったところ、一体の骸骨が出てきた。研究者たちはこれがリチャード三世である可能性が非常に高いとみて、法医学的な見地から分析を行っているそうだ。

研究者たちがまず注目したのは、骸骨の外的な特徴だった。脊骨には明らかな湾曲が見受けられ、この骸骨の主が、シェイクスピアの描いたように、ハンチバックであったことを強く推測させた。頭蓋骨には叩き割られたような傷があり、背骨には金属製の矢じりが突き刺さった跡があった。これらは、リチャード三世が激しい戦いの中で、敵に致命的な傷を負わされたことを物語っている。

研究チームではこのほかに、法医学的手法を駆使して様々な面から分析を行っているそうだ。リチャード三世の妹の子孫であるという人がいるが、その人のDNAとこの骸骨のDNAを比較したり、頭蓋骨をもとに顔の様子を再現し、それを残されているリチャード三世の肖像画とつきあわせるなどの方法である。

法医学者たちによる、埋葬された人々の発掘調査は、このほかにも数多く行われている。最近ではアラファトPLO元議長の遺体が発掘されて話題を呼んだが、これはアラファト議長の死因を確定する目的のためだった。アラファト元議長は、公式には病死と言うことになっていたが、イスラエルの工作員によって毒殺されたという噂がたえなかった。その真偽を検証するために、発掘されたわけである。(写真はWikipediaから)

(参考)Body Under British Parking Lot May Be King Richard III:National Geographic


関連サイト:リチャード三世:シェイクスピアの王権劇 





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