平成廿五年元旦を迎えて

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毎年元日にはその年の干支を水彩画で描いてホームページにアップするのが習わしになっているので、今年もその例に従いやってみた。今年の干支は蛇である。蛇と言うのは、形からして絵になりにくい。だから敢えて絵にしようと思うと、このように多少の工夫をしなければならない。その工夫が果して実を結んだかどうか、その評価は読者にお任せしたい。

蛇の年を「みどし」というのは、蛇の古名「みづち」の頭文字をとったもので、鼠の年を「ねどし」、ウサギの年を「うどし」というのと同じ意味合いだということが、近頃読み始めた南方熊楠の「十二支考」にあった。「みづち」とは水の王者と言う意味で、蛇の生息を観察した結果生まれた言葉であろうという。

なお、蛇の呼び名には、形の大小に応じていろいろあるということを、熊楠先生は本居宣長を引きながら述べておられる。即ち、「小さく尋常なるを久知奈波(くちなは)といひ、やや大なるを幣毘(へび)といふ、なほ大なるを宇波婆美(うはばみ)といひ、極めて大なるを蛇(じゃ)といふなり、遠呂智(をろち)とは俗に蛇といふばかりなるをぞいひけむ云々」

こうしてみれば、古代の日本語では、遠呂智が蛇の総称であったということがわかる。さればこそ、「やまたのをろち」は、頭を八つもったへびであったわけである。

その蛇には様々な特徴がある。その中でひとつ面白いことを熊楠先生は紹介しておられる。蛇と言うものは、捨てられた時に、首の向いている方向に逃げていく。したがって、自分の行こうとする方向と反対の方向に首を向けて捨てて遣れば、蛇は二度と戻ってくることがない。間違って自分の方に首を向けると、どこまでもついてくる。それ故昔の人は、蛇の頭を逆向きにして、しかも自分の背後から後ろ向きに捨てたというのである。

これは蛇の一途な性質をよく捉えた俗諺なのであろう。蛇といえば気味悪がる人が殆どだが、なかなかどうして愛嬌ある側面ももっているわけだ。

そうしたわけで、巳年には、自分の思うところを一途に追及するのがよい。また、人との間をよく心得、愛嬌苦しく振る舞うと、なにかと成功の機会も増えるのではないか。

蛇の運にあやかり、今年が良い年になることを期待したい。





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