MLBの落ちた偶像たち

| コメント(0)

130113.barrybonds.jpg

今年のMLBにはホール・オヴ・フェイマーが一人も誕生しなかった。1996年以来のことだという。1996年の場合には大物がいなかったという事情があったようだが、今回は違う。文句ない大記録を打ち立てたあのバリー・ボンズとロジャー・クレメンスが選出対象になったにもかかわらず、彼等も基準を満たす投票数が得られなかったのだ。それだけではない、マーク・マグワイアやサミー・ソーサといった大物も、いまだ選ばれれてはいない。いわゆるドーピング問題が彼らの頭上に漂っているせいだ。

かれらが大活躍したのは、1990年代から2000年代の前半にかけてだ。その時期に多くの選手がステロイド剤を服用していたとの疑惑を受け、それを十分晴らせないままに引退した。ステロイド剤の服用と競技成績の関係については、色々とわからない点があるようだが、とにかくステロイド剤を服用したことは、スポーツ選手としてアンフェアな行為だとする見解が一般的だ。その見解と言うか、球界の常識が、彼らを選ばせない最大の理由になっている。

これについては、すこし杓子定規すぎるのではないかとの反論もある。たとえば、クレメンスもボンズもステロイド剤を服用し始めたと思われる時期は1998年以降であるが、その時点で、二人ともホール・オヴ・フェイマーとして十分相応しい成績を上げていたという意見や、確率論的にいえば、疑惑の対象となっている時期のホームラン発生頻度は、今日のそれと殆ど変っていないし、ステロイド剤がピッチャーに及ぼすプラスの影響はほとんどあきらかになっていない、といった意見である。それとは別に、あまりに杓子定規にすると、この時期にプレイした選手の大部分が選にもれるという結果になる。それでは、後世の人々の目から見て、余りに異常に映るのではないかと言った議論もある。

もっとも、クレメンスもボンズも引退してわずか5年しかたっておらず、今後15年間は選出される資格を持ち続ける。その間に、スポーツ界のステロイド剤服用についての受け取り方が変化すれば、場合によっては選出される見込みがないとも限らない。(写真はバリー・ボンズ:TIMEから)





コメントする

アーカイブ