土建国家日本の復活

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安倍政権はいわゆるアベノミクスの一環として手厚い公共事業を補正予算案に組み込んだばかりだが、今度は税制面で、公共事業を推進する体制を整えた。麻生政権時代に一般財源化された自動車関係税を、道路特定財源として復活させようというものだ。こうした動きに対しては、古い自民党への先祖がえりだとする批判もなされているが、安倍自民党政権は、そんな批判などどこ吹く風だ。風を吹き流して昔の土建国家日本をとりもどそう、それこそが「ウチュクシー日本」づくりへの早道だ、といわんばかりだ。

不況対策として公共工事を拡大することには筆者も大した異論はない。しかし公共事業といっても色々ある。未来への持続的な成長につながるような、産業構造を変化させるような、そういう推進力を内在している分野を開拓し、そこに資源を集中的に投じていく。それが望ましいあり方だ。ただ道路や橋を作るだけでは能がない。土木事業は一時的に景気を活性化させる効果はあるが、事業が済んだあとには殆どコンクリートの塊と膨大な借金しか残さない。その借金にしても、ちゃんと帰ってくる当てがあるのか心もとない。というのも、借金を返すに足るほどの経済成長が、果して土木型の公共事業によって生み出されるのか、はなはだ疑問だからだ。

いわゆる道路特定財源を一般財源化したのはほかならぬ自民党だ。その自民党が、いくら選挙に勝って浮かれているとはいえ、小泉以前の古い時代の伝統的な手法に戻ろうとするのはいかにも能がないではないか。

一方では消費税を上げて負担を中間層以下にしわ寄せし、また生活保護世帯など弱い立場のものに辛く当たる政策を打ち出しながら、他方では企業減税をしてみたり、無駄な公共事業に惜しみなく金をつぎ込もうというのは、どう考えても心ある政治家のやることではないだろう。


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