ジェーン・メアー、クルーズ上院議員を批判

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テキサス州選出の共和党上院議員テッド・クルーズ(Ted Cruz)の極右的なパフォーマンスが話題になっているが、先日は同じ共和党員でありながら、オバマ政権の国防長官に指名されたチャック・ヘーゲル(Chuck Hagel)に対して、公聴会の席上、彼の思想信条を巡って露骨な非難を繰り広げた。それがあまりにも異常だったので、共和党の同僚でさえ「はめを外している(out of bounds)」と批判したそうだが、雑誌ニューヨーカーの人気記者ジェーン・メアー(Jane Mayer)は、クルーズをかつての反共チャンピオン、ジョゼフ・マッカーシーに譬え、その姿勢に警鐘をならす一文をニューヨーカー誌上に投稿した。

それによれば、クルーズは2年半前に行った演説の中で、自分の母校であるハーバード・ロー・スクールにふれ、自分が学んでいた時代には、教授の中に数多くのコミュニストがいて、合衆国政府の転覆を狙っているなどと発言していたことを暴露した。彼は、いまになっておかしくなったのではなく、以前からいかれていたというわけなのだ。

メアーの取材によれば、クルーズが在籍していた1990年代には、ハーバード・ロー・スクールには社会民主主義を標榜する教授はいたが、コミュニストはひとりもおらず、まして合衆国の転覆を目論むものなどひとりもいなかった。また、クルーズは、当時のハーバード・ロー・スクールには、共和党の教授は自分の恩師だったチャールズ・フリードただ一人だったとも言ったが、実際には4人いた。クルーズがなぜ、事実と異なった事柄を声高に叫んでいるのか、その意図はわからないが、少なくとも政治家としては問題だ。メアーはこういってクルーズを批判するのである。

この批判にクルーズ側は早速こたえた。彼の秘書がウェブ・サイト上でメアーの批判に応えたわけだが、そのなかでも、クルーズ側は、自分のいっていることは間違ってはいないと開き直った。そのうえで、何故2年半前のことを今更蒸し返すのだと、逆にメアーを非難したが、メアーの方では、対立する相手を、手段をわきまえずに攻撃するという、クルーズの政治家としての資質を明らかにするための材料として持ち出したのであって、そもそも応えてもらいたいのは、そのような政治姿勢について、自分がどう考えているかなのだとメアーは言って、改めてクルーズを批判した。

ポピュリズムといえども、事実と異なることを叫んで世論の喝采を呼ぼうとするのは良くない。メアーのいいたいことはこの一点なのだ。





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