わかってるわ あの人がどこかに(I know that he exists):ディキンソンの詩から

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エミリー・ディキンソンの詩から「わかってるわ あの人がどこかに(I know that he exists)」(壺齋散人訳)

  わかってるわ あの人がどこかに
  隠れてらっしゃてるってことは
  あの人は わたしたちの
  下品な目を避けてらっしゃるのよ

  それはひとときの気晴らし
  いたずらな待ち伏せ遊び
  至福に喜びを
  加えるための企みなのよ

  でもその遊びが
  本気になってしまったら
  その喜びが死のこわばった
  視線にとらえられてしまったら

  そんなお遊びは
  あまりに高くつき
  そんな気晴らしは
  行きすぎだと思わない?


ここでHEと言及されているのはイエス・キリストのこと。キリストが我々の目から姿をくらましているのは、それなりの理由があってのこと。でも、いつまでも姿をくらまし続けていたら、わたしたち弱い人間は、キリストを信じていられなくなるかもしれない。何故ならわたしたちは弱い存在なのだから。


  I KNOW that he exists 
  Somewhere, in silence. 
  He has hid his rare life 
  From our gross eyes. 
  
  'T is an instant's play,         
  'T is a fond ambush, 
  Just to make bliss 
  Earn her own surprise! 
  
  But should the play 
  Prove piercing earnest,         
  Should the glee glaze 
  In death's stiff stare, 
  
  Would not the fun 
  Look too expensive? 
  Would not the jest         
  Have crawled too far?


関連サイト:英詩と英文学 





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