この記事は、人口崩壊とは、半世紀といった比較的短い期間に、人口が三分の一も失われる事態だとした上で、2048年に日本の人口は一億人を割り、2060年には8700万人にまで減少するという統計データを示し、今後半世紀の間に、日本が人口の三分の一を失う人口崩壊を経験するだろうと予測している。
このような人口崩壊の先例としては、ヨーロッパの人口の三分の一が失われた14世紀のペスト大流行や、中国における王朝交代時における人口減少などがあげられるという。どちらも、異常な事態が引き金となって起きたわけで、日本のように特別な異常要因がないにかかわらず、人口が減少し続けるというのは、過去に例がないということらしい。
この推測は、日本社会が有効な人口減少対策を講じず、勢のまま減少していく傾向を放置することを前提にしている。ということは、何らかの有効な対策が講じられれば、すさまじいまでの減少は食い止めることができるかもしれない、ということらしい。
今の日本が人口減少傾向に陥っている最大の要因が、若者が今までのようには子どもを産まなくなったことにあるのは言うまでもないだろう。子どもが生まれなければ人口が減少するのは自然の勢いだ。
では何故、若者は子どもを生もうとしないのか。それは、子どもを産んで育てることに、非常に大きな制約があるからだろう。子供を産むためには男女が結婚しなければならないが、その結婚に関しても大きな制約がある。
つまり今の日本の若者には、低賃金にあえいで、結婚生活のための基盤を作れないものが増える一方で、折角結婚して子供を産んでも、育てられる自信がない。社会が子育てを支援してくれないからだ。日本の社会には、「家族というものは私的なもので、自立自存するのが本来の姿である。子育てを社会に期待するのは基本的にはいいことではない」といった価値観が横溢している。そうした社会では、子育てと云うのは大変なリスクを負うことを意味する。だから若者は子育てをパスしてしまうのだ。
ともあれ、このまま放っておくと、日本の人口は確実に減少していくだろう。それでもいいではないか、という人にも一理あるかもしれないが、人口崩壊といわれるほど、短期間に極端に人口が減ってしまうのは、やはり国の姿として尋常ではない。
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