時事通信社が原発10社を対象に廃炉検討の如何を聞いたところ、(福島原発を除き)目下廃炉を検討している会社はゼロだったそうだ。どの会社も、原子力規制委員会の新規制基準の施工にあわせ、フィルター付きベントの設置工事などを進めており、規制委員会の安全判断を得たうえで、再稼働したいと目論んでいる。
現在50機ある原子炉の中には30年を経過したものもあるが、原発各社では、そうした炉についても、耐用年数の延長を勝ち取る姿勢でいるらしい。原発の中には、活断層の存在や、浜岡原発のように津波に対して決定的に弱い構造のものもあるわけで、長期的な視点に立てば、廃炉の方が安くつくと思われるのだが、そんな原子炉でも、とにかく再稼働したいというのが原発各社の判断のようだ。
先日は、柏崎刈羽原発の再稼働を巡って、東京電力の姿勢が、地元の新潟県知事の厳しい批判を浴びたばかりだが、このことからうかがわれるように、原発企業の幹部の頭には、安全とか長期的な視点とかは全くなく、目先の利害だけで動いているようだ。
その背景には、原発の再稼働に向かって前のめりになっている安倍自民党への視線があるのだろう。当座の逆風をなんとか乗り越えれば、安倍さんが原発再稼働を後押ししてくれるだろう、と読んでいるように映る。
あるいは原発企業の幹部は、一旦走り始めたものはなかなか止められないという、日本人特有のあの怠惰な心性から脱しきれない、というだけのことなのか。
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