疑似戦時経済へ進むのか:アベノミクスの行方

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アベノミクスの好調なスタートに気を良くして、安倍自民党の大盤振る舞いがとまらない。参議院選挙を有利に進めようという思惑が働いているらしく、最近は地方へのばらまきぶりに弾みがついている。北海道新幹線、紀伊半島一周高速道路、四国新幹線、東九州自動車道といった具合に、大型の公共工事を次々と約束している。しかし、財源のことには何もふれていない。

一方、来年の四月以降控えている消費税の増税については、安倍首相の知恵袋といわれる経済学者浜田氏が、景気への悪影響を懸念して、先送りを示唆している。安倍首相も、景気に悪影響が及ぶと明確に予想される場合には、消費税の増税を見送る立場らしいから、これはその通りになる可能性が高い。

こうなると、歳入が増えない中で、歳出ばかりが増えていく勘定になる。当然財源が問題になるが、安倍政権はそれを国債で賄う方針なのだろう。国債の発行に関しては、日銀が無制限に面倒をみてくれそうだから、これはもしかして、とんでもない借金財政がまかりとおるようになる可能性がある。

こんなむちゃくちゃなやり方は、過去には一度しかなかったことだ。昭和前期の戦時経済がそれだ。あの時代の日本は、無制約に国債を発行することで戦費をまかなった。戦費は当然実物需要を作り出すから、経済は活性化する。1930年代の恐慌が克服されて、経済が回復したのは、戦時経済の賜物だったとする見方もある。

たしかに、戦時経済は経済を活性化する一面はあった。しかし、一時的な経済活性化のために、国民はとんでもない代償を支払わされた。ハイパーインフレがやってきて、なにもかもパーになってしまったのだ。(無論、戦争に負けて世の中がひっくり返ったという事情も働いてはいたが)

今の安倍政権が目指しているのは、どうもこの、戦時経済のようなものらしい。金を返すアテもないのに、無制約に国債を発行して、日本中にコンクリートの塊を作り出そうとする。コンクリートの塊なら、大砲の弾よりずっと穏やかかもしれないが、国民経済に与える打撃という点では、劣るものではない。

これを何といったらよいのか。筆者は、疑似戦時経済といいたいが、どうだろうか。(筆者は、積極財政そのものは否定するわけではないが、それにもやり方と度合というものがある)


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