革命か反革命か:エジプト情勢がよく見えない

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軍によるクーデターが起こった後のエジプトの様子が、いま一つ良く見えてこない。モルシ支持側に51人の死者を出した弾圧騒ぎや、暫定政権による組閣の動きなどについても、断片的に伝わってくるだけで、全貌が見えない。これは日本のマスメディアが鈍感なだけではなく、世界中の有力メディアも全貌を掴めていないということのようだ。

それには、今回の軍のクーデターをどうとらえてよいのかについて、共通した認識がないことも作用しているらしい。評価が定まらないことについて、あまり深入りして、後で認識不足を後悔しないように、との配慮が働いているのかもしれない。

今回の軍によるクーデターについて、各国政府による受け止め方はまちまちだ。いまのところ、このクーデターを違法だと、真正面から批判しているのは、ドイツくらいだ。アメリカは、民主的に選ばれた大統領を武力によって倒すことは、民主主義の精神に反すると、表向きは批判しているが、その批判には及び腰だとの印象がともなっている。というのもアメリカは、もともとモルシ政権の姿勢に不満を抱いており、今回のモルシ打倒劇には、両義的な感覚をもっているからだろうと思われる。つまり、一方ではモルシによるイスラム化の動きにストップがかかることは歓迎しつつも、それを表向きにはいえないという、矛盾した立場にあるのだといえる。

軍や反モルシ勢力は、今回のモルシ打倒劇はクーデターではなく、革命の継続だといっているようだが、果して彼らのいうとおり、ジャスミン革命の継続なのか、それとも反革命なのか、なかなか見極めのつかないところだ。(写真はモルシ打倒を祝うターリール広場の人々:TIMEから)





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