エジプトの虐殺

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軍隊が国民を殺すのだから虐殺としかいいようがない。いま、エジプトで起きている事態だ。26日夜から27日未明にかけては、カイロやアレクサンドリアなど各地で、親モルシ派のデモに軍隊が襲い掛かり、70名もの人々が殺された。これで、7月3日に起きたクーデター以来、軍隊に殺された人の数は、数百人に達したとされる。

これは暴発的に起こったものではない。軍は予め、軍への国民の支持を呼び掛け、その支持を背景にしてモルシ派の虐殺に取りかかった。国民を分裂させておいて、その一方の権威を縦に、反対派をテロリストと決めつけるやり方は、シリアのアサド政権と同じだ。

アメリカを始め、西側諸国はこの事態を複雑な目で見ているようだ。特にアメリカは、今回の軍によるクーデターを、正式にクーデターとしていない。そう認めると、エジプト軍に対する軍事援助を中止せざるをえないからだ。

エジプト軍は、アメリカの同盟国であるイスラエルとは友好的な関係にある。それに対してモルシの方が、イスラエルに強硬な姿勢をとってきたのは周知のとおりだ。アメリカの中のイスラエルマフィアとよばれる勢力にとって、モルシは目の上の瘤だったわけだ。そのモルシを軍隊が追っ払ってくれた。それはうれしいことには違いないが、しかし道徳的には威張れることではない。そんな後ろめたさから、アメリカのエジプトへのかかわり方には矛盾したところがある。(写真は負傷者を搬送するモルシ派の人々:APから)







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