JR北海道のクモスケ体質

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JR北海道の相次ぐ不祥事と、それを釈明する幹部のあっけらかんとした無責任ぶりが、人々の口をあんぐりとさせているが、かくいう筆者も、かつて運送業界の端くれにいたものとして、忸怩たる思いを禁じ得ない。運送事業者の中にはまじめにやっている者も当然いるし、こんな連中といっしょくたにされるのはかなわないが、世間の目にはそうは映らない。こんなことが起きると、運送事業者は十把一からげにされて「クモスケ」呼ばわりされる。なんともやりきれない話だ。

クモスケというのは、徳川時代に跋扈していた不心得な運送事業者のことを指す。大井川や箱根の山を根城にして、人や荷物の運送を事とした連中のことで、相手の顔や足元を見ながら、法外な料金をひったくったり、さんざん悪事を働いたりした。この連中をクモスケと言うようになったのは、カモを待ち構えるさまが、糸を張って餌となる虫を待ち構える蜘蛛に似ているからだという。これはクモスケの古典的な形態で、現代のクモスケは、やるべきことをさぼる連中のことをさすようだ。

それにしてもJR北海道の安全対策は、お粗末と言う段階を通り越して犯罪的とでもいうほかはない。こんな連中が人々の運送を担っているとすれば、人々は体だけでなく、命まで預けることを余儀なくされるわけだ。体の運送先は鉄道の駅に違いなかろうが、命の運送先はあの世と言うわけだ。







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