イギリスにおける南北格差

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イタリアに南北格差があるように、イギリスにも南北格差がある。イタリアの場合には富める北部と貧しい南部との格差だが、イギリスの場合には逆転して、富める南部と貧しい北部の格差だ。この格差は過去一世紀の間イギリスに存在してきたものだが、その格差が近年一層拡大しているという。

ガーディアンによれば、最近のイギリス経済は年3パーセントの成長を続け、国全体としては拡大を続けているが、その恩恵は地域によって異なる。バーミンガムの南側で東西に引いた線を境に、南部は高い成長率を示したのに対して、北部は低いか、あるいはマイナスの成長率を示した。

成長の果実は失業率の変動にも現れている。イギリス全体の失業率は18パーセントと依然高いが、それでも、ロンドン周辺の都市が10パーセント前後なのに対して、北部諸都市では27~30パーセントと非常に高い失業率を記録している。

ガーディアンはその原因の一つとして、産業構造が地域ごとに異なっていることをあげている。北部は伝統的な工業地帯なのに対して、南部の方は金融をはじめとしたサービス産業の比率が高い。こうした差異が深刻な経済格差につながっているのだろうというわけである。

面白いのは、イギリスでは地域の経済的なパフォーマンスが政党の支持につながるということだ。平均よりも高い所得の地域では保守党の支持率が高く、低い地域では労働党の支持率が高い。

日本でも地域格差のようなものは存在するが、イギリスやイタリアの南北格差のように、地域によってはっきりと色分けできるような格差はないといってよい。しかも、その格差が政党支持に結びつくという現象も、明らかには見られないのではないか。

(参考)UK growth? Make London independent to mend the north-south divide By Larry Elliott:Guardian







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