修道士マルチン・ルター:クラナッハの肖像画

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クラナッハがマルチン・ルターと親交を深めるきっかけになったのは、ルターの聖書翻訳の手伝いを通じてだった。ルターは、1520年にヴァルトブルグ城で聖書の翻訳を始めるのだが、それに挿絵を入れるについて、当時ルターの庇護者であったザクセン選帝侯のお抱え絵師であるクラナッハの協力を求めたのである。クラナッハは、自らルターの聖書のための挿絵を描いたほか、完成した聖書の出版についても一肌脱いだ。1524年の初版刊行の際に、その費用を立て替えたほか、後には自分の印刷所で聖書の印刷を行った。これは、クラナッハにとっても、よいビジネスであったようだ。

そんなこともあって、クラナッハはルターと家族をあげた付き合いをするようになり、ルターや夫人の肖像画を多く描いたりもした。

クラナッハが描いた最初のルターの肖像画は、1520年の銅版画である。この肖像画のなかのルターは、聖アウグスティウス修道会士の姿をしている。

(1520年、銅版画、15.9×10.8cm)








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