米政府閉鎖:オバマとGOPの泥仕合

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アメリカ政府の一部が閉鎖されるといった事態が10月1日から始まった。閉鎖といってもすべてが閉鎖されるわけではなく、国民生活に重大な影響のあるサービス(たとえば年金の支給など)は実施されるわけだが、それでも影響は大きい。国立公園や歴史的モニュメント、博物館などが閉鎖され、それらに従事する80万人の公務員が、一時的レイ・オフの状態に入る。NASAも閉鎖の対象だが、国際宇宙ステーションにいる宇宙飛行士をサポートする業務は当然継続されるそうだ。

閉鎖の原因は、新年度予算案が通らなかったことだ。この予算案には、いわゆるオバマケアの実施にかかる予算が組み込まれていたが、いまだにオバマケアの廃止にこだわる共和党(GOP)が強行に反対し、GOPが優位を占める下院の賛成が得られずに、ついにこういう事態になった。

オバマケアは、長い歴史的な背景のもとに、ようやく法制化されたもので、今回の予算はその実施のための当然の経費を盛り込んだだけなのだが、GOPはその予算を削ることで、オバマケアを事実上骨抜きにする作戦に出たわけだ。GOPがこんな作戦をとる背景には、小さな政府を主張するいわゆるリバタリアン勢力が党内で優勢を占め、GOPの幹部がコントロールできない事情が働いたとされている。彼らは、貧乏人のために、汗水働いて稼いだ金を、オバマの政府に巻き上げられるのが我慢ならないのだ。

政府の一部閉鎖は、クリントン時代の1995年から96年にかけても行われた。その際には22日間で終了したが、それを終了させたのは、共和党のやり方に対する国民の怒りが強まったからだと分析されている。

今回も、国民の怒りを向けられた方が折れることになると思うが、今の所オバマ側もGOP側も強気だ。両者がともに強気でいられる間は、閉鎖は続くだろうと予想されている。そうなったらほんものの泥仕合だ。

それにしても、アメリカ人のやることは、乱暴なような気がする。(写真はEconomist から)







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