ワシントンの死のカー・チェイス

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先日ワシントンで、ホワイトハウス前の警備ポイントで不審な動きを見せて逃走した車が、警備当局によってカー・チェイスを受け、最期には乗っていた車に銃弾を浴びて、運転していた女性が死亡するという事件があった。死亡したのは37歳の黒人女性で、車にはこの女性の子供とみられる幼児も乗っていた。

この事件でカー・チェイスを行ったのは、首都警察とUSシークレット・サービス。彼らのスタッフが、この逃走中の動いている車に向かって合計17発の弾丸を発砲し、7発が車にあたったということだ。そのうちの一発が女性を直撃し、即死したらしいが、幼児のほうは幸いに助かった。

この事件をめぐって早速議論が巻き起こり、連邦検察当局も捜査に入ったようだ。問題は、警察による発砲に合理的な理由があったかどうかにある。上記警備機関の内部規定を含めて、アメリカの警察・警備関係者の間では、動いている車に向かって銃を発砲してはならないと決められており(危険だからだ)、また、今回は車に乗っている者が女性と小さな幼児であることを認識できたはずだし、それにもかかわらず、しかも相手が無防備だったにかかわらず、銃撃することに合理的な理由があったのか。その辺に関心が集まっているようだ。

今の所聞こえてくるのは、場所(ホワイトハウスと国会議事堂)がら、自爆テロの可能性が否定できない中で、発砲したことには十分な理由があったとする警備当局の意見だが、それも時と場合を十分に踏まえて判断するべきだろう。事件後、この女性が精神的障害を抱えていたこともわかってきた。ホワイトハウスで警備ラインと接触した後、国会議事堂方面に逃げて行ったのは、自分の理性をコントロールできなかったからだろうと見られている。

こんな事件を見せつけられると、非常に複雑な気持ちになる。(図で線を引いたところはカー・チェイスのルート:WPから)





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