在特会のヘイトスピーチに違法判決

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レーシスト団体「在特会」が在日韓国・朝鮮人のひとたちを標的にして行っていたヘイトスピーチに違法判決が出た。京都の朝鮮学校前で街宣活動を行ったことに対して、京都地裁が新たな街宣活動の差し止めを命じるとともに、高額賠償を命じた。このようなケースで違法判決がでたのは、これが初めてで、これを契機に過激さを増すヘイトスピーチに一定の抑制効果が出るのではないかと期待する向きがある一方、法規制の強化に慎重な意見もある。

在特会(在日特権を許さない市民の会)は2006年に結成されたということだが、その活動が世間の耳目を集めるようになったのは、この一・二年のことだ。その背景には、東アジア情勢の変化を踏まえてナショナリズムの動きが一部で高まっていることや、竹島や従軍慰安婦問題を巡って、日韓関係が悪化していることなども働いているのだろう。しかしそうした事情を考慮しても、彼らの行動には弁明の余地はない。明らかな人種差別であるし、言葉も暴力的そのものだ。彼らは言論の自由を標榜しているらしいが、これはその域を大きく逸脱している。暴力以外のなにものでもない。

最近は、新大久保における彼らのヘイトスピーチに対抗する活動(カウンター・ヘイトスピーチ)も行われているようで、両者の間で衝突も発生しているようだ。それに対して警察当局は喧嘩両成敗の立場をとり、最初のうちは両方のメンバーを拘束するようなこともあったが、最近はカウンタースピーチ側のメンバーだけを拘束したこともある。これは、在特会のヘイトスピーチが違法だと認識されていないことの結果だ。

在特会はなかなか政治的センスがあるらしく、先日の参議院選挙やオリンピック招致に際しては、自分たちの活動が安倍政権にとってダメージにならないように、自粛していたらしい。ところが、選挙が終わりオリンピックの東京招致が決まってからは、再び街宣活動を活発化しているという。どうも、安倍政権の右翼的な言動と自分たちの活動とを連動させて考える程の、現実思考はしているらしい。

ところで、何故いまの日本でこのようなレーシズムが台頭してきたのか。ドイツではたびたびレーシズムが高まりを見せることがあるが、その背景にはナチスによる究極のレーシズムの歴史があるという背景がある。日本でもレーシズムの高まりが過去になかったとは言えないが、ドイツ程に強烈なレーシズムを歴史上経験したことはないはずだ。それがいまになって、ネオナチ顔負けのレーシズムが台頭するということは、どういうわけか。


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