素飯:陸游を読む

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陸游の七言律詩「素飯」(壺齋散人注)

  放翁年來不肉食  放翁 年來 肉食せざるも
  盤箸未免猶豪奢  盤箸 未だ猶ほ豪奢たるを免れず
  松桂軟炊玉粒飯  松桂 軟かく炊ぐ 玉粒の飯
  醯醬自調銀色茄  醯醬 自ら調ふ 銀色の茄
  時招林下二三子  時に招く 林下の二三子
  氣壓城中千百家  氣は壓す 城中の千百家
  緩步橫摩五經笥  緩步して橫ざまに摩す 五經の笥
  風爐更試茶山茶  風爐 更に試む 茶山の茶

わしは近年肉食をしておらぬが、食卓は依然として豪華だわい、松桂で玉のような飯を炊き、醯醬で自分で料理するのは銀色の茄子(放翁:陸游の号、盤箸:大皿と箸、食卓のこと、醯醬:酢と醤油、銀色茄:白茄子)

時に二三の隠者を招き、その迫力は城内の多くの人をしのぐ、緩やかに歩みながら腹をさすったり、コンロに湯を沸かして茶山の茶を入れる(林下:隠棲した人々のいるところ、五經笥:五經のつまった箱、学問した人物の腹のこと、風爐:湯を沸かすコンロ)


開禧二年(1206、82歳)、老いて肉食こそしなくなったが、食卓は依然豪華だと云い、そこに気の知れた人々を招いてはともに清談す、その得難い楽しみを大らかに歌ったところは、いかにも陸游らしい


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