関係閣僚を外して特区諮問会議設置

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安倍政権が特区諮問会議なるものの設置を考えているそうだ。これは一定の地域を国家戦略特区として指定し、そのなかでは規制を大幅に取っ払って、企業家たちの経済活動をやりやすくしてやろうというものだ。規制を緩和する対象としては、医療、雇用、農業、教育などを想定しているようだ。

安倍政権はこの諮問会議に、小泉政権下の経済財政諮問会議のような機能を果たさせ、小泉政権がそうであったように、この諮問会議を隠れ蓑に使って、一気に規制緩和を進めるつもりでいるらしい。雇用の分野に関していえば、先日問題になって取り下げた雇用特区は、当分のあいだ取り上げないといっているようだが、政府自らが雇用契約のガイドラインを作るとも言っており、そこにどのような方向が盛られるのかはあきらかではない。場合によっては、解雇特区構想の復活につながる恐れもないわけではないようだ。

この会議で問題だと思うのは、経済財政諮問会議のように少数の閣僚といわゆる御用学者で構成し、関係閣僚は外していることだ。関係閣僚はとかく業界の利益を代表する態度をとるので、彼らを入れると、規制緩和がなかなか進まないからという理由かららしい。

しかし、そういう考え方は民主不義の本旨に反していると言わざるを得ない。民主主義とは多数が何をしてもよいということではなく、熟議を通じて少数者の意見も反映して行こうとするところに意義がある。少数者の意見をはじめから排除しようというのは、熟議の精神を捨ててかかることであり、したがって民主主義の精神を踏みにじるものと言わざるを得ない。

とくに雇用のテーマに関しては、経営者と労働者双方の利害を反映させながら熟議していくというのが王道である。それを始めから、労働者の代表を外すどころか、労働問題を所管する官庁の大臣まで外すというのは、尋常なことではない。

安倍政権にはどうもこういうところが目立つ。日銀の総裁が言うことを聞かないと言っては自分の意に染む者へ首を挿げ替え、集団的自衛権を巡る議論で自分の言いなりになる人物を法制局長官につける。そして今度は、労働を所管する閣僚を除外して労働者の待遇や労働条件を決めようとする。これでは片手落ちで強権的なやり方だと批判されても仕方がないだろう。


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