八十四吟:陸游を読む

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陸游の七言律詩「八十四吟」(壺齋散人注)

  七十人稀到  七十すら人稀に到るに
  我過十四年  我過ぐること十四年なり
  交遊無輩行  交遊 輩行する無く
  懐抱有曾玄  懐抱 曾玄有り
  飲敵騎鯨客  飲んでは敵す騎鯨の客
  行追縮地仙  行は追ふ縮地の仙
  城南春事動  城南 春事動き
  小蹇又翩翩  小蹇 又翩翩たり
人生七十ですら古来稀というに、自分はそれを14年も過ぎて生きた、かつての友人たちは皆世を去り、抱いているのは曾孫や玄孫たちだ(七十人稀到:杜甫の古希の詩を踏まえる、輩行:ともに歩く)

しかし飲みっぷりはまだ李白に劣らず、遥か彼方の仙人を追いかけることもできる、城南では農作業が始まった、足を引きずりながら見に行くとするか(騎鯨客:李白のこと、縮地仙:仙人費長房のこと、蹇:足を引きずってあるくさま、翩翩:軽やかに動き回るさま)


開禧三年(1207、83歳)の作。杜甫のいう古希を過ぎて生き続けている自分を、しみじみと歌う。年はとったが、体力も気力も衰えてはいない、と強がって見せている。


関連サイト:陸游を読む 






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