ヨーロッパで広がるロマ迫害

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先日、ギリシャで青い目をした白人の少女がロマ人夫妻のところで発見され、その後その夫婦が誘拐罪で逮捕された事件がきっかけになって、ヨーロッパでは新たなロマ迫害の動きが広がっているようだ。ロマ迫害はここ10年以上にわたってヨーロッパ各国で強まってきており、フランスなど従来ロマに比較的寛大だった国でも、違法居住を理由に国外追放するケースも目立ってきていたところ、この事件がそうした動きを煽るのではないかと、アムネスティなども懸念しているという。

ロマは自分の国を持たないいわゆる流浪の民で、もともとはインド起源だと考えられ、西欧諸国ではジプシーとかツィガーヌかいう蔑称で呼ばれてきた。ロマというのは、ロマ人自身の言葉で人間を意味する名詞だという。現在ヨーロッパ全土で約1000万人のロマ人がいるとされている。

ロマ人は長い間差別と迫害に苦しみ、ナチスドイツによってユダヤ人同様絶滅対象民族に指定されて、50万人が虐殺されたという悲惨な歴史もある。しかし、その迫害がユダヤ人ほど注目されてこなかったのは、政治的な力をほとんど持たなかったためだ。

今回のケースでは、ヨーロッパにおける多数の児童誘拐事件にロマがかかわっているのではないかとの憶測が流れ、ロマに対する様々な形での抑圧、迫害が強まっているようだ。ロマフォビアともいうべきそうした迫害にさらされることで、ロマの人たちは新たな困難の時代を迎えつつある。(図像はヨーロッパ各国におけるロマ人口の分布:BBCから)









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