アポロンとディアナ:クラナッハの官能美

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アダムとエヴァと同じように、一対の男女をテーマにしたものに、アポロンとディアナがある。アダムとエヴァが人類最初の夫婦であり、したがってセックスと結びついているのにたいして、アポロンとディアナは、ローマ神話の上では兄妹となっており、したがって二人の間にセックスを連想させるものは生じない。そこが、同じく一対の男女であっても、アダムとエヴァとの決定的な差である。

多くの場合、アポロンはデァイナの傍らに立って弓を弾く姿で描かれているが、1530年のこの作品では、ディアナの傍らに立ったアポロンは、弓を左手に持ったまま、ディアナを見下ろしている。いずれにせよ、アポロンの表情には、性的なものは感じられない。

このテーマのどの絵でも、ディアナは鹿の背中の上に腰かけた姿で描かれている。それは、ディアナが月の女神として、鹿の車に乗って地球を一周するという言い伝えにもとづいている。それに対してアポロンは、太陽の神として、場所に乗って地球を一周するのであるが、アポロンの乗る馬車は、ここには出てこない。

なお、ローマ神話の女神ディアナは、ギリシャ神話ではアルテミスということになっている。アルテミスは処女神である。

(1530年、板に油彩、51.6×36.4cm、ベルリン美術館)


関連サイト:クラナッハの官能美 






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