コクトーの八つの歌から「目覚め(Réveil)」(壺齋散人訳)
ライオンたちの厳かな口
若ワニたちのしとやかな笑い
なにもかも流し去る
川の流れ
スパイスの島々
このすてきな男の子は
やもめの女王と
船乗りの子どもだ
船乗りがサイレンを置いていった
そのさびしいうなり声が
島の南にひびく
それは兵営の中庭に鳴り渡るラッパだ
短すぎる夢だったよ
消えそこなったランタンのような夜明け
さあ 起きよう
ぼろぼろのファンファーレだ
Réveilは目覚めという意味。だがこの詩は目覚めそのものを語っているのではないようだ。目覚めた時にまだ瞼の底に残っていた夢の残影を語っているのだろう。
その夢には、ライオンやワニがいて、スパイスの実がなっている島が出てきて、その島にはすてきな男の子が暮らしていた。男の子はこの島の女王が産んだ子で、父親はよそからやってきた船乗りだった。
その船乗りが残していったサイレンが島中に響き渡る、すると島は兵営のイメージに変る。サイレンの音が兵営のラッパの音に変ったのだ。そのラッパの音で、詩人は目が覚めたのだろう。その余韻を聞きながら、さあ起きよう、と彼はつぶやくのだろう。
Réveil
Bouche grave des lions
Sourire sinueux des jeunes crocodiles
Au fil d'eau du
fleuve charriant des millions
Iles d'épices
Qu'il est beau le fils
de la reine veuve
et du matelot
Le joli matelot délaisse une sirène
Sa plainte de veuve
au sud de l'îlot
C'est la diane dans la cour de la caserne
Rêve trop court
Aube lanternes mal éteintes
Nous nous réveillons
Fanfare en haillons!
関連サイト:フランス文学と詩の世界
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