弱い者いじめの軽自動車増税:安倍政権はどこを向いているか

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軽自動車の保有にかかる税金が増税されようとしている。現在は普通の自動車と軽自動車では税率が異なっており、軽自動車税は(普通)自動車税の4分の1以下に抑えられている(一台当たり軽自動車が7200円に対して、普通自動車は排気量に応じて2万9500円~11万1000円)。それを、軽自動車税を(普通)自動車税並みに引き上げようとするものだ。

この動きに対して、軽自動車の製造販売に力を入れているスズキ自動車の社長が「弱い者いじめだ」といって批判している。スズキの社長がいうように、軽自動車は社会的に弱い立場の人々にとっての貴重な足になっており、その税金を大幅に引き上げようというのは「弱い者いじめだ」と言ってよいかもしれない。

軽自動車税増税の理由について、安倍政権は消費税の増税に伴う調整措置だと説明しているが、それだけではないだろうとの憶測も流れている。アメリカからの要求に屈したというものだ。アメリカは、自国の車が日本で売れないのは関税障壁があるためだと主張し、その最たるものとして軽自動車税の優遇をあげていた。軽自動車税が安すぎるために、普通自動車が相対的に不利になり、アメリカの自動車も売れないという理屈だ。

たしかに、日本人が軽自動車を好むことは、世界的に見ても独特の現象だ。国内の自動車保有率の37パーセントが軽自動車であるほど軽自動車が普及しているのは、軽自動車税が安いせいだ、とアメリカはいうのだが、しかし、日本人の軽自動車好みは、税金のせいだけではあるまい。年寄でも女性でも気軽に運転できるし、燃費の効率も良い、また狭い道でも走れる、といった具合に様々な利点を持っている。そうした利点が総合されて、軽自動車が普及したということではないのか。それを、アメリカから文句を言われたからと言ってその言いなりになるのでは、安倍政権はいったいどこを向いて政治を行っているのか、といわれて致し方なかろうというものだ。

安倍政権はアメリカの顔色を伺うのが性になっているようだ。TPPに無理して参加したのもオバマ大統領の御機嫌取りだとする見方もあるし、秘密保護法案の唐突な提案も、アメリカに命令されてのことだとする見方もある。それによれば、この法案の本音は、日本国民の知る権利を抑圧してアメリカに関わる秘密を守ろうとすることだというのだが、もしそうだとしたら、そんな政府がまともな政府と言えるのか、重大な疑問がある。


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