安倍首相が、国会開催中にわざわざトルコまで出かけて行って原発を売り込んできた、というニュースに接して、大方の国民は唖然としたのではないか。なにしろ、福島原発の事故がまだ収束とは程遠い状態で、また将来の原発政策についての国民の合意ができていない（というより大部分の国民は脱原発の意思を益々強くしている）状態の中で、こともなげに、それも外国に対して、原発売り込みの最前線に立ったわけだから、国民の驚きも大きいというものだ。
だが、安倍首相ご本人はそんな疑問には馬耳東風の様子だ。それどころか、今回のセールスの成果を自慢している程だ。そんな首相の姿を見て、いわゆる原子力ムラの住人たちは拍手喝采・随喜渇仰していることだろう。いわく、安倍大総理大臣は我が原子力ムラの希望の星であります、と。
だが、原子力ムラの希望の星になっても、我が日本国の国民大多数にとっては不吉の流れ星であった、ということにならないよう願いたいものだ。
日本国の首相自ら原発を売り込んだのだから、トルコ側は大いに安心しているだろう。何しろ地震の多発する国だ。いつ何時巨大な原発事故が起きないとは限らない。そうなった時に、その賠償について日本政府は面倒を見てくれるだろう。というのも、原発の事故に関してメーカー側の責任を追及するというのが大きな流れになってきており、それを踏まえれば、金持の日本に応分の負担を求めることもできる。なにしろ首相自らが売り込んだのだから、国として責任を持つのは当たり前だ。そんな議論が高まることも予想される。
ともあれ、安倍首相の言動を見ていると、つくづく自民党のヤンキー体質を具現しているのだな、と思わせられる。ヤンキーというのは、今流行の現象であって、その特徴は現在に生きるということだ。つまり、過去のことはくよくよ考えたって仕方がないし、未来のどうなるかわからないことを考えるのは馬鹿馬鹿しい、現在を面白おかしく過ごせれば、それでいいじゃん、というのが彼らの姿勢だ。安倍首相はそうした姿勢を全身であらわしているように見える。
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