悪いニュースを伝えるタイミング

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良いニュースと悪いニュースでは、悪いニュースを先に伝える方が有効、こんな研究結果がナショナル・ジオグラフィックに紹介されていたが、それを読んだ筆者は首をかしげてしまった。というのも、筆者の日頃の印象では、悪いニュースは最後に伝えた方が、少なくとも伝え手にとってはメリットがあると感じていたからだ。それに対して良いニュースは、真っ先に伝えた方が良いと。

例えば会社の上司に報告するケースを考えよう。報告は結論から伝えよというのがサラリーマン社会の鉄則だろう。途中経過をぐだぐだと言ってからおもむろに結論を述べるのではなく、まず冒頭でずばり結論をいう、そうしたうえで、その結論に至った経緯を要領よく述べる。これが良い報告の仕方だ。サラリーマンならだれもがそう思っているに違いない。ただしこれは、あくまでも良いニュースに限った場合だ。

失敗や損害などの悪いニュースの場合には、結論を先に言ってしまうと、上司の方で気を悪くしてしまって、その後の話をまともに聞いてもらえない場合が多い。それでも事情を報告し続けると、報告ではなく言い訳のように受け止められてしまう。それが殆どのケースではないだろうか。それ故サラリーマンの諸君は、良いニュースは結論から始め、悪いニュースは言い訳から始めるという処世訓を、しっかりと身に着けているわけである。

ナショジオの件の紹介記事では、悪いニュースの見本として、ガンの告知をあげている。かつてはガンの告知が患者に与える打撃の大きさを考慮して、場合によっては告知そのものさえ行わなかったこともあったが、現在ではほとんどのケースで告知が行なわれている。告知によって患者が打撃を蒙ることも無論あるが、しかしそのことによって、自分の今後の生き方への気構えが出来たり、プラスの効果もある。それ故ケースによっては、悪いニュースを真っ先に伝えることに効果を認めることができるかもしれない。

しかしそれは例外的なケースではないか。やはり悪いニュースは、十分に言い訳をして、相手に或る程度の心構えをしてもらった上で話す方が、いろいろな面で都合がよい、と考えられる。






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