給料返すからやらせて:猪瀬直樹氏の都知事職へのこだわり

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徳州会からの5千万円受領問題で迷走を重ねている東京都の猪瀬直樹知事。都議会各会派からの厳しい追及に会い、どうやらギブアップの状態らしい。今回の事態は自分の不徳の至りだと認める一方、引き続き都知事職への未練を表明し、給料を一年分返すから、このまま都知事をやらせてほしいといっているそうだ。

今回の事態には、よくわからないところもあるが、猪瀬氏がいわゆる汚い金を受け取ったことだけは確かなようだ。普通なら、自分は誤解のあるような金は一切受け取っていないといって、責任を回避するのが王道だから、責任を認めることは、裏を返せば、全面降伏を意味する。猪瀬氏のような政治家にとって、全面降伏とは無論、辞任することだ。

それを、責任は認めるが辞任はしたくない、そのかわりに給料を一年分お返しするから大目に見て下さい、というのは、子どもにとってさえ、おかしな理屈に映る。そんなおかしな理屈に頼らざるを得ないほど、猪瀬氏は追い詰められているということか。

しかし、そこまでして都知事にしがみつくについては、猪瀬氏の都知事職に対する思い入れの強さを物語っていると大方の人は受け取るのではないか。つまり、都知事職と言うのは、つまらぬスキャンダルで放り投げる程軽いポストではない。そう猪瀬氏は思っているのだろう。

なにしろ都知事と言うのは、徳川時代における大藩の藩主より巨大な権限を持っている。知事部局といわれる内局だけでも数万の職員を擁している。それらの職員から日々、殿さま殿さまといわれて、上を下に置かない接待を受けている。そんな接待を毎日受けていたら、自分はこの世で最も偉大な人間なのだと錯覚するのも無理はない。しかも猪瀬氏は、石原慎太郎氏の部下として何年間か仕え、都知事と言うものがどんなにすさまじいものかを、身を持って体験してきただろうと思われる。そんな人物にとって、こんな面白いポストをそう簡単に手放すわけにはいかない。

それで、はた目には滑稽と映るようなことも、猪瀬氏本人の意識の中では、ごく当たり前のこととして映るのだろう。






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