
ピカソは初めての子パウロの子ども時代の絵を何枚も描いているが、そのほとんどは具象的なタッチで描いている。「ロバに乗ったパウロ(Paul sur une âne)」は、その中でも有名な一枚だ。
絵のなかのパウロはまだ二歳だから、おとなしくロバに乗っていることはできない。それ故ピカソは、ロバに乗った子どもの写真を撮り、その写真をもとにこの絵を描いたのだといわれている。
ロバに跨ったパウロは、うれしいというより、ちょっぴり怖いと言った表情をしているが、ピカソはその表情が非常に気にいったらしい。
一説には、ベラスケスの「皇太子バルタサール・カルロスの騎馬像」にインスピレーションを得たというが、ベラスケスの絵の中のカルロスは、疾駆する馬を巧みに操る姿で描かれている。
(1923年、キャンバスに油彩、100×81cm、個人蔵)
関連サイト:壺齋散人の美術批評
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