似たもの同志? 習近平と安倍晋三

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中国の習近平国家主席と日本の安倍晋三首相との間には類似点が多い、という趣旨の文章をAFPが配信していたのを興味深く読んだ。(対立する日中首脳に多い類似点、専門家らが指摘)

この記事は日中問題の専門家らの意見を紹介しながら、両首脳の類似点について分析している。まず、二人ともエリート政治家の二世として、夢想的で愛国的な未来のビジョンを掲げているという。なにが夢想的かと言うと、習近平氏の場合には、「中国の夢」について大きな声で語ることを好むということであり、安倍氏の場合には「日本を取り戻す」と繰り返し叫んでいるということらしい。その叫び声が夢をみている人の声に聞こえるのだろう。

両者ともに愛国主義を表に出す点で類似している。国民の愛国心に訴えることで、自分の政治的な立場を強化しようというのは、政治家の本能のようなものだが、ふたりともその本能をむき出しにしているというわけだ。そしてその愛国心を、安倍氏の場合には靖国参拝と言う形でアピールし、習近平氏の場合には、中国革命への忠誠という形で示しているわけだ。最近国際的な注目を集めた安倍氏の靖国参拝と習近平氏による毛沢東の墓参りが同じ日に行われたというのも、なにかの因縁かもしれない。

二人とも力の誇示を好んでいる点でも類似している。中国はすさまじい勢いで軍事力の強化をはかっているし、安倍政権の日本も軍事力の強化について憚りなく取り組むようになった。互いに日中間の衝突を念頭においていることはいうまでもない。といって、すぐさま戦争を始めようというわけでもないようだ。

ここで、第三の類似点が物を言う。それは両者とも経済を重視している点だ。二人とも経済の活性化を、自分の政権基盤を安定させる最大の要素だと考えているふしがある。それが彼らを自制させている。中国は、安倍氏の靖国参拝に対して厳しく反応したが、いまのところ、日本製品のボイコットなどの動きは控えている。政治的対立を経済の分野にまで及ぼすことは、好ましくないと考えているからだろう。日本の安倍政権も、経済関係の冷え込みまでは避けたいと考えているようだ。こうした自制が働けば、両国の対立が軍事衝突に発展することを制御する要因になるかもしれない。

ともあれ、この二人の類似点でもっともやっかいなのは、相手の言い分をまともにきこうとしないことだ。安倍氏は相手の横っ面を平手打ちするようなことをしながら、まず自分の言い分を聞けと言うスタンスだし、習近平氏の方は、自分の言い分を認めなければお前の話は聞かないという態度だ。これでは話し合いも何もない。(写真もAFPから)







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