代表教育委員:教育長が教育委員長を兼ねる

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先日、教育委員会を首長の諮問機関に格下げする案を自民党が出したところ、教育への政治介入の拡大を憂慮した公明党が難色を示したために、自民党は新たに、代表教育委員なるアイデアを出してきた。これは、執行機関としての教育委員会の位置づけは従来のままで、教育委員長と教育長を一体化させた代表教育委員なるもの設置しようというものだ。こうすれば、教育委員会の自主性は保証されつつも、教育行政への知事の関与も強化され、教育委員会の責任ある運用が期待できる、と自民党は説明しているようだが、果してそうか。

たしかに教育委員会は執行機関としての位置づけを持ち続けるので、自主性が補償されたように見える。だが、それは仮象というものだ。何故なら、代表教育委員は首長によって任免される点では、実質的にも制度的にも完全に首長の手下になるわけで、その代表教育委員によって運営される教育委員会は、実質的にも制度的にも首長による執行機関の一つに過ぎなくなるわけである。現在の制度では、教育委員会のトップである教育委員長は、建前上は首長から独立した存在である。そのトップを首長の任免による手下がつとめるようになるわけであるから、これは実質的には首長の下部機関への格下げと言ってもよい。

今の制度では、教育委員長は教育委員の互選によって選出され、その教育委員は、都道府県の場合には文科省の、市町村の場合には都道府県教育委員会のおすみつきを得たうえで、なおかつ議会の同意を得て首長が任命することになっている。形式的には、教育委員会に一定の独立性が補償されているわけである。それが、代表教育委員が教育委員会を取り締まるようになれば、実質的にも形式的にも、教育委員会の独立性は消滅すると考えられる。








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