吉野梅郷といえば、水戸の偕楽園や横浜の三溪園と並んで、関東の梅の名所だ。旧街道沿いの道端や畑に群がるように並んでいるほか、梅の公園には数々の品種の梅が植えられていて、さながら梅の博物園といった観を呈していた。その梅が、すべて伐採されることになったと聞いて、残念な思いに駆られた。
理由は伝染病だ。PPVという外来種のウィルスが2009年に確認されて以降、あっという間に地域全体に広がった。そのため青梅市では、これまでも２万６千本の梅の木を伐採して感染の拡大を防いできたが、ついに防ぎきれず、梅の公園の梅も全部伐採することになったのだという。
この公園には、筆者は二年ほど前に仲の良い友達と一緒に出掛けたことがあったが、なかなか見事なものだった。また、梅の公園以外に、街道沿いの梅も何度か見る機会があった。いずれも見事な眺めだった。それが見られなくなるのは非常に残念だ。
とはいっても、永久に見られなくなるわけではない。市では、今後のウィルスの撲滅状況を追跡しながら、しかるべき時がきたら、梅の植樹をしたいといっているそうだ。幸いに、梅は成長の速い植物であるから、植樹が再開されれば、遠からずまた眺めることが出来るようになると思う。もっとも、筆者のような老人に、時間的な余裕が残されているかどうかは、心もとない次第ではあるが。（写真は青梅市の梅の公園）
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