ポール・ギョーム:モディリアーニの肖像画

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モディリアーニは1914年に画商のポール・ギュームと知り合いになった。ギョームはセーヌ右岸のフォブール・サン・トノレ(東京で言えば銀座通りのようなところ)の一角に画廊を構え、そこで当時無名だったキリコ、ドラン、ピカビアなどの絵を紹介したのだったが、モディリアーニの絵の売買にも助力し、画廊で行った多くの共同展にモディリアーニの絵を参加させてくれた。

ギョームはモディリアーニのために個展を企画することはなかったが、その絵がいずれ売れることを信じて、多数の絵を買い上げてくれもした。モディリアーニの存在が世界的に認知されるにあたっては、ギョームのコレクションが大いに役割を果たした。というのも、ギョームのコレクションをアメリカ人の美術収集家バーンズ(バーンズ・コレクションで知られる)の手に渡るや、それがアメリカ各地の美術館の関心を呼び、そこから世界中へとモディリアーニの名声が伝わっていったのだった。

モディリアーニは、この大切なパトロンのために、何枚かの肖像画を描いた。これは、1916年に描いたものである。帽子をあみだにかぶり、ネクタイをわざと曲がらせているところなど、くだけた印象を与える。左右非対称の眼、小さな唇、長い鼻の線などが、いわゆるディリアーニらしさを感じさせる。

ギョームには鬱屈した側面もあったようで、1934年に34歳でピストル自殺している。

(1916年、キャンバスに油彩、80.5×54.0cm、ミラノ、市立現代美術館)








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