貞観彫刻4:金剛峰寺大日如来像

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密教といえば大日如来ということになるが、貞観彫刻のなかで大日如来像が残されているものは少ない。その貴重なものの一つが、金剛峰寺西塔の大日如来像である。これは西塔に安置されている五仏の中心となるものだが、ほかの四仏が徳川時代の作であるのに対し、西塔創建時(仁和年間<885-888>)のものと推定されている。

ヒノキの一木彫で、内刳りを施さず、堅固な造りであるが、烈しい損傷のために、あちこちに補修の跡がある。光背・台座は後世の補充であり、条帛や膝の上面に彫り直しのあとがみられ、また漆の箔も塗り直している。この像が国宝になれないのは、こうしたためかもしれない。

がっしりとした体躯、精悍な顔の表情、また今は後補の宝冠に隠れて消えないが、高く盛り上がった髻などに、貞観時代の仏像の特徴をみることができる。

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