ご心痛をお与えした:上から目線で下手に出る

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都議会の本会議で、露骨な女性差別的言動が大騒ぎに発展した。騒ぎは日本国内に留まらず世界中を巻き込んだというので、さすがの安倍政権も黙っていられず、こんな言動をした議員は潔く名乗り出て謝罪しろといい始めた。というのも、この言動に関わった都議が皆自民党員だということは、誰の目にも明らかだったからだ。

その結果ついに、一人の自民党男性議員が「自分です」と名乗り出て、差別的な言葉を浴びせかけた女性議員に謝罪した。その様子がテレビニュースでも映し出されたが、それを見た筆者は思わず飯を噴き出してしまった。

というのもこの男は、女性の前で深々と膝を屈しながら、「ご心痛をお与えした」といったからだ。「ご心痛」はともかくとして、「お与えした」とはどういうつもりか。別稿でも述べたとおり、「与える」という言葉は、目上の者が目下の者に対して使う言葉で、基本的には「上から目線の言葉」だ。尊大語と言い換えてもよい。しかもその尊大語にわざわざ「お」をつけて、「お与えする」というのは、ほとんど痴愚蒙昧な言語感覚としかいいようがない。

こういうメチャクチャな言葉を、公的な謝罪のシチュエーションで使うというのは、どういう神経がなさしめているのかと、筆者などはただただあきれ返るばかりだ。

この男は、これまでの追及に対して、自分ではないと言い続けてきた。結果的には、それはうそをついたことなわけで、それを指摘されて、男はうそをついていたことを認めた。

この男を巡っては、ほかにも色々なことが取りざたされているが、それはさておいて、こんな男が議員であり続けられることに、日本の政治の貧困ぶりを感じずにはおられない。






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