白楽天の七言律詩「春湖上に題す」(壺齋散人注)
湖上春來似畫圖 湖上に春來りて畫圖に似たり
亂峯圍繞水平舖 亂峯圍繞して水平らかに舖(し)く
松排山面千重翠 松は山面に排して千重の翠
月點波心一顆珠 月は波心に點じて一顆の珠
碧毯線頭抽早稻 碧毯の線頭 早稻を抽き
青羅裙帶展新蒲 青羅の裙帶 新蒲を展ぶ
未能抛得杭州去 未だ杭州を抛ち得て去る能はず
一半勾留是此湖 一半の勾留 是れ此の湖
湖上に春がやってきてまるで絵のような風景だ、周りは山々に取り囲まれ水面は滑らかだ、松が山面に生えて緑が重なり合い、月は波頭に映じてたまのようだ(一顆:ひとつぶ)
緑の絨毯の毛先とみえるのは稲の穂の先、青羅の裙帶と見えるのは蒲の穂先だ、いまだに杭州をなげうって去りがたく、なかば引き留められているのはこの湖のせいなのだ(碧毯:緑色の絨毯)
これは杭州にある風光明媚な湖、西湖を歌い讃えた詩だ。
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