普天間か辺野古かどちらかを選べ:安倍政権の沖縄処分

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安倍政権の菅官房長官がNHKの番組に登場し、沖縄の基地問題に触れて、普天間移設計画は既定方針通り粛々と進める一方、普天間基地の2019年初めまでの運用停止については、翁長知事の協力が必要だとの見解を示したそうだ。

これは、翁長知事とその背後にいる大多数の沖縄県民の願に対して、真正面から否といっているようなものだ。要するに、辺野古への移設が政府の思惑通り進まない限り普天間の運用停止はありえないし、場合によっては基地の固定化ということも考えられる、そういう趣旨の発言だと思う。

この発言は、基地は沖縄の県内で都合つけるのが当たり前だという安倍政権の本音を、はばかりなく言ったものといえよう。沖縄の人々の願は、これ以上の基地負担を避けるために、できれば海外、それがかなわなければ県外に、ということだ。菅官房長官は、そうした沖縄の願に対して、居丈高に否と言っているに等しい。あなたたちの言い分は、頭から聞きませんよ、と言っているように聞こえる。

要するに、普天間か辺野古か、どちらかを選べということだろう。菅長官がそんなことを憚りなく言えるのは、沖縄県民を二級国民と思っているからではないか。二級国民だから、一級国民たる本土の人々のために犠牲を甘受するの当たり前だ、そう思っているのではないか。

戦前には、沖縄県民を二級国民とする考え方がおおっぴらに通っていた。たとえば台湾では、台湾現地人を含めた日本国民(当時は台湾現地人も法律上は日本人だった)を三つにクラス分けし、内地人を一級国民、沖縄県人を二級国民、台湾の現地人を三級国民に位置付け、差別化した歴史がある。そういった歴史的な差別意識を、今の安倍政権の閣僚も分かち持っているのではないか、どうもそんなふうに思えるフシがある。

そうでも思わなければ、沖縄の人々の願いに対して、頭からそれを否定するような言動を、たやすくできるわけがない。こんなことがたやすく通るのでは、それは新たな琉球処分としての沖縄処分だと言わざるを得ないだろう。

安倍政権の日本政府が沖縄の基地問題にまじめに取り組まないのであれば、沖縄の人々は、安倍政権を、当事者能力を持った交渉相手とは受け取れなくなるだろう。安倍政権にモノ申しても唇寒しで終わるのなら、基地の本尊であるアメリカ軍とアメリカ政府に直接願いをぶつけるほかはなくなる。実際沖縄は、これまでにもアメリカに直接意思表示をし、一定の譲歩を獲得してきた歴史がある。










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