プーチンの核兵器準備発言

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ここ数日間、公の場から姿を消して、世界中を騒がせてきたプーチンが、一昨日(3月15日)のロシアのテレビ番組に登場して、世界をもっと驚かせるような発言をした。昨年3月のクリミア併合を巡る欧米との対立を前に、核兵器の使用を前提とした準備命令を出したというのだ。ことがことだけに、世界中を震撼させるには十分な発言だった。

この発言を、欧米側としてはどう受け取ったらよいのか。喧々諤々たる論評がなされている。その趣旨は、大きくわけて二つに分かれる。一つは、西側を威嚇して、ロシアへの攻撃を思いとどまらせようとする脅しだ、とする見方だ。もう一つは、プーチンは本気で核兵器の使用を考えたのであって、場合によっては、核戦争を辞さないという考えでいた、とするものだ。

どちらにしても、物騒極まりない話だ。仮に、プーチンの目的が脅しにあるのだとすれば、西側がこのままクリミア問題を見逃すことは、その脅しに屈したということを意味することとなり、プーチンを増長させる効果を持つ。また、プーチンが本気で核兵器の使用を考えていたのだとすれば、核兵器を巡る今日の世界の枠組への根本的な挑戦ということを意味する。といより、プーチンにそんな考えを抱かせるに至った今日の核軍縮のシステムが事実上意味を持たなくなっているということだ。

どちらにしても、核の脅しが現実的な意味を持つというふうに受け取られるようになれば、ロシア以外でも、核のカードをちらつかせて自分の言い分を通そうとする動きが出てくることは、十分予想されるだろう。そうなれば、安全保障上、核兵器を持つことは至上の要請だ、と考え始める国も出て来るだろう。




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