ウォルフレンの日米関係論:日本の対米従属を切る

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日本研究で知られるオランダのジャーナリスト、カレル・ヴァン・ウォルフレンが、最近の日米関係について論じた文章を日本の英字紙 Japan Times に寄せている(Dependence day: Japan's lopsided relationship with Washington )。本文はかなり長いので引用は控えるが、読者諸兄には、上記リンクからアクセスし、一読することをお勧めしたい。

この文章のなかでウォルフレンは、現在の日米関係が、アメリカの利益に偏った不平等なものであると指摘している。日本の米軍基地は、建前上は日本の防衛を目的としているが、実際にはアメリカの世界戦略のために使われている。それは、たとえば北朝鮮からの脅威から日本を守るというよりも、中央アジアや中東におけるアメリカの戦争のために、前進基地として使われているに過ぎない。

こうした状況からして、日本は主権国家とは到底言えず、アメリカの属国と言うべきである、というのがウォルフレンの見立てである。日本の政治家には、こうした一方的な従属から脱却し、アメリカとの間で平等のパートナーシップを確立しようとする者もいたが、そうした政治家はアメリカによって潰されてきた。例えば鳩山由紀夫。鳩山が、アメリカへの従属一辺倒から脱却し、中国や韓国との間で正常で好ましい関係を確立しようとしたとき、アメリカは(とりわけナイとかアーミテージとかいった連中を中心にして)、日本の保守的な政治家・官僚・メディアと結託して、鳩山潰しにかかった。その結果、鳩山は権力の座から引き下され、そのすぐ後に自民党が権力を取り戻した。

そんな経緯があるから、いまの安倍政権は異常とも言えるほどアメリカへの従属を深めている。なにしろ、アメリカのおかげで権力の座にカムバックを果たせた、そんな思いがあるから、安倍政権がアメリカさまさまになるのも無理はない。そんな光景が、この文章を通じてよく見えてくるのである。





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