婦女相学十躰:歌麿の美人画

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(ポッピンを吹く女 大判錦絵)

「婦女相学十躰」は女たちのしぐさや表情を類型化して描いたもので、おそらく十点一組で出版されたのであろう。そのなかでもっとも有名なのが、この「ポッピン吹く女」、「ビードロを吹く女」とも呼ばれている。ポッピンとは、ガラスで作ったおもちゃで、吹くと「ポッピン」という音が出るところから、こう名づけられたと言う。

この図柄は人気が出たらしく、後にシリーズから独立して、版を重ねたと言う。なお、娘の着物の図柄は、町屋の娘らしさを表しているとされる。これは歌麿の創作になるもので、彼のデザイナーとしての才能を認めることができる。


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(浮気之相 大判錦絵)

これは湯上りの女の色気を描いたもの。「浮気之相」と題したのは、どんな男でも、こんな女と寝てみたいと言う、寝言を盛りこんだものか。

実際、盛り上がった乳房といい、ふっくらとした顔の輪郭と言い、成熟した女の魅力を感じさせる。


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(かねつけ 大判錦絵)

かねつけとは、鉄漿(おはぐろ)を施すことを言う。徳川時代以前の日本の女たちは、歯に鉄漿を塗って黒く染めた。白い歯を人前で見せるのは、子どもでなければ、はしたないこととされた。

この絵は、かねつけに熱中している女の表情を生き生きと描いている。歌麿の傑作のひとつだ。







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