女上司に蹴られて成仏する

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先日、23歳の若者男性が車の中で会社の女上司に蹴られて死んだというニュースが流れたが、それを聞いた筆者はびっくりした。その理由は恐らく、女が男を蹴り殺したということの異常さ、またこの女が暴行した男性と言うのは、女が雇っていたアルバイトで、その仕事ぶりが気に入らないから暴行したということの異常さだ。

ここで成仏とい言う言葉を使ったのは、死んだという意味でだが、こんな死に方をしたのでは、この若者は成仏できないかもしれない。それにしても、女が男に暴行して、その挙句に蹴り殺したなどというのは、日本の歴史上珍しいのではないか。筆者の狭い見聞からすれば、こんな話は初耳だ。

近頃は女性の体位が向上して、膂力では男勝りの人も増えた。筆者の知人女性の中にも、六尺豊かな体躯をして、筋骨たくましい人もいる。筆者などは、いとも簡単に料理されてしまうのではないかと恐れるくらいだ。しかし、人を蹴り殺すというのは、また次元の異なった話だ。人を蹴り殺すなど、相当の事情がないとできることではない。

ところがこの女は、アルバイトで雇った若者の仕事ぶりが気に入らないから蹴りを入れたということだ。アルバイトは、一時間いくらで雇うのであるから、仕事ぶりが気に入らなければ、すぐにやめさせれば済む話だ。それを、五時間も説教を垂れた挙句蹴り殺したというのであるから、殺伐としているというより、どこか狂っていると言うほかはない。

おそらくこの女は、アルバイトと雖も金を払って雇ったのだから、全人格的な支配権を手に入れたと思ったのではないか。でなければ、こんな事が出来るわけがない。

そうだとすれば、この女は決して異常な例外などではなく、今の日本の労働市場のゆがみを体現しているだけなのかもしれない。最低の条件で最大の効果を労働者からあげる、というのが今日的な雇用のキーワードだ。労働者は、廉い賃金で際限なくこきつかう、働きぶりが気に入らなければ多少の折檻も許される。こんな考え方が経営者の間で広まっているのではないか。だからこの女のしたことは、決して例外ではないのではないか。そんなふうに思われて、暗然たる気持ちに陥った次第だ。





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