西之島の噴火と大陸創生

| コメント(0)
150855.nishinosima.jpg

一昨年(2013年)11月の噴火から一年半以上にわたって噴火を続ける西之島、このように長期の噴火は過去に観測されたことがないそうだ。この噴火によって、直径二キロ、海抜140メートル以上の火山島に成長した。その地質学的・生態学的な意義については、世界中から注目されている。なかでも、この噴火が、地球上における大陸生成の謎に手がかりをもたらすのではないかと大きな期待が寄せられている。NHKスペシャル「新島誕生 西之島  ~大地創成の謎に迫る」は、そんな期待に応えようと、興味深い調査結果を放送していた。

誕生してからしばらくの間、地球は海に覆われていて、陸地はなかったと考えられている。陸地が出来たのは、マグマの成分が地上に出てきて、それが冷やされて岩石にかわることによってだ。この岩石は軽くないといけない。重すぎると、マグマの中に沈み込んでしまうからだ。これらの軽い岩石が地球上の至る所で出現し、それらが相互にけん引しあって大陸になったのではないか、そんなふうに考えられている。

ところが、現在の地球で観測できる火山の爆発では、重い岩石ばかりで、軽い岩石は見つかっていない。そういう重い岩石では、巨大な大陸にはとても成長できない。そこで、大昔においては、火山の噴火によって軽い岩石が出来たのではないかとの推測もあった。だが、そうした推測は、現実のデータで裏打ちされなければ、信ぴょう性を持てない。

そこで、西之島の噴火で軽い岩石が出来たことが確認できないか。もし確認できれば、太古において、噴火でできた軽い岩石によって地表が覆われるようになり、それらが結合して大陸になった、という仮説に或る程度の信ぴょう性を付与することができる。そう考えた研究チームは、西之島の噴火現場から、マグマによってできた岩石の採集を行った。そしてそれを調査した結果、軽い岩石であることがわかった。安山岩という岩石だそうだ。これなら、マグマに沈み込むこともなく、相互に結合して大きな大地に成長するという推測も成り立つ。

というわけで、西之島の噴火は、地球上に大陸が創生したプロセスをも解き明かす手がかりをもたらしてくれそうだという。(写真は西之島:NHKから)






コメントする

アーカイブ