消えゆく鷹狩

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写真(WPから)は、鷹に褒美の餌を与えるモンゴルのカザフ人。カザフスタンからモンゴルにかけてひろがるアルタイ山地は、4000年にわたる鷹狩の伝統を持つ。だが、近年は鷹狩が世界的になくなる傾向のなかで、鷹匠が減少し、今では世界で70人ほどを認める程だという。そのほとんどは、アルタイ地方に集中している。

アルタイ地方で鷹狩が保存されてきたのは、ここに住む遊牧民が弧絶した生活を送ってきたためだ。だが近年は、彼らの生活に外部の風が吹き付けるようになり、鷹狩どころか遊牧の生活をやめる人も出て来た。

こんなわけで、鷹狩のシーンを見られる日は、遠からずなくなってしまうかもしれない。この写真はそんな光景を捉えた最後の一枚になる運命なのかもしれない。

鷹に食べさせているのは、鷹自身がハントした獲物の内臓だ。おそらく狐の肺だと思われる。狐は鷹狩のもっとも有意義な獲物であり、その内臓、特に肺は、鷹にとっての大好物だというので、こうして真っ先に食べさせてやることで、ハンターと鷹の絆を強める効果もあるという。

鷹狩に使う鷹は、雛の状態で捕獲したあと、三年から四年かけて調教する。一羽の鷹と一人の人間との一対一の関係が確立されねばならぬ。その関係の中で、鷹は主人と一体となり、共同で狩をするようになる。他の人間の言うことはきかない。一人の人間に命を預けるわけだ。そんな鷹のことを、人間も自分の家族として接しているのだという。






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