週刊文春の自己弾圧

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日本のイエロージャーナリズムの旗手を自認する週刊文春が、イエロージャーナリズムの不可欠の要素たる露骨な性表現を巡って君子然とした態度をとったと言うので話題になっている。最新号で、目下永青文庫で開催中の春画展を紹介する記事と併せて歌麿や北斎の春画をグラビアで載せたのであるが、どういうわけかこのグラビア写真が「編集上の配慮を欠いた」と言う理由で、編集長を休養という名の謹慎処分にしてしまったのだ。

休養を命じるというのも面白い発想だ。おそらく週刊文春の経営者らは当該編集長がこのような不始末をしでかしたのは頭が狂っていたからであり、その理由は疲労だったに違いないから休養させるべきだと判断したのだろう。

当該の歌麿の春画などは、筆者も先日当ブログで紹介したとおり、そんなに目くじらをたてるようなものではない。本日(10月9日)付の朝日新聞紙上では、瀬戸内寂聴尼もその芸術的な香気を褒めていたくらいだ。

こういう行為を世間では言論弾圧という。だがそうした弾圧は権力筋からなされるのが普通のことであって、メディアが自分で自分の身内を弾圧するというのは異常な事態と言わねばならない。権力に遠慮した自己検閲というのは珍しいことではないが、権力にかわって自己弾圧するというのはあまり聞いたことがない。

安倍政権下の言論弾圧の特異な形態なのかもしれぬ。週刊文春がこんなことをするのを見ると、この国の言論をめぐるうすらさむい光景が見えてくる。





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