人が犬になった:内閣法制局の変身

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「人が犬になった」、こう言って内閣法制局を批判しているのは明治大学の西川伸一教授だ。教授は日刊ゲンダイのインタビューに答え、内閣法制局は法律の番人から政府の番犬になってしまったと言うのである。なかなか洒落た表現なので、筆者などは思わず笑ってしまった。

内閣法制局が日本の国政の歴史において大事な役割を果たしてきたことは多くの国民も知っており、そのことについて敬意を表していると思う。それは内閣法制局が不偏不党の立場から公正な法律解釈をしてきたことに基づいている。ところが安倍政権下に至って、内閣法制局は政権の意を体する形で党派的な憲法解釈をするようになった。その前段として安倍政権に送り込まれた外務省の元役人が内閣法制局の良き伝統を破壊したということがあったわけだが、今やそうした伝統をせせら笑うかのように、政権におもねるようなことばかりするようになった。

これは法の正義よりも自分の出世を重んじる役人の悪い癖が出た結果だと思うが、役人は役所あっての役人である。内閣法制局も例外ではない。こんなことを重ねていると、そのうち内閣法制局の権威は地に落ちて、誰からも相手にされず、その挙句は不要論まで出て来るだろう。

内閣法制局の役人たちが、目先の利害得失に飛びついて、自己の存立意義を忘れるようでは、内閣法制局という役所の命運もそう長くはないだろう。





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