梅花皓月図:若冲動植綵絵

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「梅花皓月図」は、皓々と輝く満月を背景に、咲きほころぶ梅の花を描いたもの。梅の花を描いたものとしては、「梅花小禽図」と対になるものである。若冲には、ひとつのテーマを一対の絵にする傾向があった。

月は線で表さず、周囲を暗くすることで輪郭を浮かび上がらせる外隈という技法で描いている。梅の花のほうは、一輪一輪胡粉を用いて丁寧に着色している。

右手に、「居士若冲製」とあり、制作年月は記されていない。

大典和尚の「藤景和画記」には、この絵は「羅浮寒色」と題され、「一株の梅、楨幹抜肌、縞芭繚乱、有月、窺之枝間」と注記している。梅の木は一株であって、そのもつれにもつれた枝の間から月がのぞいている、という意味だ。(142.9×79.7cm)

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これは、皓月の部分を拡大したもの。外隈の技法によって浮かび上がる月の輪郭がよくわかる。若冲はおそらく、月の輪郭を描いた下紙を絹布の下にあてがい、月を浮かび上がらせたあとで、下紙を取り去ったのだろう。







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