仏地域圏議会選挙で極右政党 FN が大躍進

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フランスの地方選挙である地域圏議会選挙で、極右政党のFN(国民戦線)が大躍進したことが話題になっている。総得票数で比較すると、FNが28パーセント、サルコジの率いる共和党が27パーセント、オランド与党の社会党が23パーセントと、第一位である。フランスの地方選も国政選挙同様、一回目の投票で過半数を占めた政党が無い場合には、再選挙することとなっており、今回の選挙結果で議席数が確定するわけではないが、FNは第二回目でも躍進すると見られているので、FNが地方圏を制するケースが出現する可能性が高い。

今回の地域圏議会選挙は、2016年から予定されていた新しい地位圏制度にとっての初めての選挙になる。フランスは伝統的に100ほどの県とコミューンと呼ばれる基礎自治体の二層構造だったが、1964年に複数の県をまとめた地域圏が設けられた。その区域は、これも伝統的な区分けに従ったものだった。当初は、官選の知事が首長を勤めるなど自主性に乏しかったが、1983年以降は、地方圏議会議員を住民の直接選挙で選び、その議会が選んだ首長が当該地域圏の首長になるという具合に、自治権が大幅に拡大された。今まで、海外領土を除いたフランス本土{コルシカを含む}は22の地域圏に別れていたのだが、それが2016年から13に再編されることとなった。今回の選挙は、再編後の地域圏議会議員を選ぶ最初の選挙になったわけである。

FNは、近年党勢を拡大して注目されてきたが、今回このような躍進を果たした背景には、テロ不安の高まりとそれと裏表の排外主義的な傾向の進行があると思われる。FNの排外主義は、フランスのEUからの脱退をも視野に入れているので、その勢力が大きくなるというのは、これまでフランスを中心に進んできたヨーロッパの統合に大きな影響を及ぼすものと考えられる。

FNの躍進とは対照的に、オランドの社会党の人気は冴えない。この調子だと、社会党は二回目の選挙で大きく後退することが予想される。それのみならず、社会党の退潮は、国政レベルでも進行していくだろうと見られる。最近のオランドの政治姿勢にタカ派的な傾向が見られるのは、こうした危機感が働いているからだろう。






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