自民党員の意識

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朝日新聞が、自民党の党員・党友を対象に意識調査を実施した。その結果が昨日(11月30日)の紙面で紹介されていたが、なかなか面白い内容だ。歴代総裁の中で最も評価する者として安倍晋三(19%)の名が上った。二位は小泉純一郎(17%)、四位は中曽根康弘(5%)で、いわゆるタカ派の政治家が上位を占める。彼らは同時に新自由主義者でもある。一方、ハト派で財政出動推進者だった田中角栄(16%)は三位につけている。

政策面では、安倍晋三がこだわりを持つ憲法改正や安全保障面で興味深い数字が出ている。憲法改正については、57%が急ぐ必要はないと答え、9条については「変える方がよい」の34%に対して「変えない方がよい」が43%と上回った。また、今般の安保関連法案の扱い方については、議論が尽くされていないと考えている人が57%に上った。

自民党支持層の中でもコアとなる人々が以上のように考えているというのは興味深い。自民党の国会議員の大部分が憲法改正や安保関連法案に大賛成であるのとは、大きな違いだ。

今回調査に回答した自民党員・党友の職業内訳をみると、農林漁業者層や自営業者層の割合が大きい。これに年金生活者層を加えると、6割に上る。これらの階層の人々は、安倍政権がすすめる新自由主義的な政策によって、今後、恩恵よりも不利益を被る割合のほうが大きくなると思われる。にもかかわらず、全体としては安倍政権を高く評価している。

小泉政権の時にも同じような現象が見られた。あの当時には、小泉純一郎が叫んだ構造改革のスローガンを、大多数の人々が受け入れた。その結果どういうことになったかは、一目瞭然だろう。いわゆる構造改革によって最も影響を蒙ったのは若者を中心とした労働者層だったわけだが、ほかならぬその人々の多くが、熱心に小泉改革を支持していたのである。





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