菊花流水図:若冲動植綵絵

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「菊花流水図」は、流水を背景にして咲き誇る菊の花を描いている。白やピンク、紅の菊の花が、空中を漂っているような感じで描かれ、菊の花弁の合間や岩の上に数羽の小鳥が遊んでいる。このように、植物を大きく描き、禽獣を添え物のように描くのは、動植綵絵シリーズの最終局面に近い頃の作風と言えよう。

この絵は、男色を暗示しているとする見方がある。大きな菊の花弁は肛門の隠喩であり、画面左下の突き出た岩は男根をあらわしているという解釈だ。若冲に女性の影がないことが、そうした憶測に拍車をかけたのかもしれない。

流水はS字型に描かれ、かなり類型的に見える。菊花のほうも、茎を含めて空中に漂っているように見え、実在感に乏しい。そうしたところも含めて、この絵には光琳の影響を見て取れる。(142.7×79.1cm)

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これは、画面上部の白い菊の花弁を拡大したもの。黄土と緑青で下塗りした上に、胡粉を用いて花弁を丁寧に描き加えている。







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