頭のよくない善人が頭のよい悪人を批判

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民主党の野田前首相がTBSのテレビ討論番組に出席して、自民党の安倍政権が進めようとしている軽減税率を"厳しく"批判した。その理由は、私は軽減税率に反対だ、というから、要するに結果を以て前提にとりかえることをしているわけだ。野田前首相が何故軽減税率に反対かと言うと、それを埋める財源がないからだという。"財源なくして政策なし"と言う鉄則に照らして、安倍政権のやろうとしていることは無責任だと言いたいらしい。

これに対して、安倍政権を代表して番組に参加していた石破地方創生担当大臣は、「財政規律が緩んでしまったらハイパーインフレしかないと強く認識。そんなことこそ弱者切り捨てだと思っているから、そんなことだけはしてはいけない」と受けて、政権として「財政再建に責任を持つ姿勢を強調」した。

野田前首相の言う、軽減税率の導入と財源確保が両立しないという思い込みには根拠がないと思うが、それ以上に根拠がないのは石破大臣の言い分だろう。石破大臣の言い分は、事実の上に立った根拠ある推論と言うよりも、ただの観測、つまり願望にすぎない。

しかし、野田前首相が、根拠のあやふやな思い込みにしがみついているだけなのに対して、石破大臣のほうには、根拠がなくともやり抜こうという意欲が感じられる。

根拠のあやふやな思い込みにしがみついている政治家の姿と言うのは、見ていてしまりのあるものではない。頭の悪さを感じさせてしまうのだ。まあ、野田前首相の場合には、その頭の悪さを彼独特の善人イメージが補ってくれてはいるが、政治というものは、頭のよくない善人によって舵取りされるよりは、頭の切れる悪人によって切り盛りされるほうが、国家にとってよいこともある。

一番よくないのは、頭の悪い悪人が国家のかじ取りをすることだが、今の日本は果してどうなのか。新年早々つまらぬことで心配な気持ちになる。





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