
蕪村の十宜図から「宜冬」。もとになった李漁の漢詩「伊園十宜」のうち「宜冬」は次のとおりである。
茂林宜夏更宜冬 茂林夏に宜しく更に冬に宜し
禦卻寒威當折衝 寒威を禦卻して當に折衝すべし
小築近陽春信早 小築陽に近して春信(まこと)に早し
梅花十月案頭供 梅花十月案頭に供ふ
繁った林は夏が涼しくてよいが、冬もまた更によい。というのも、寒さを防いでくれるからだ、この小さな山荘は高いところに位置して太陽が近いので暖かい、春がはやくやってきて、10月だというのに、もう梅が咲いて机上を彩ってくれる。
深い林にかこまれた山荘を描く。墨の濃淡が冬の空気の繊細さを表現している。
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